SBI証券、金融庁から業務停止命令の可能性…株価操作で顧客が損失、重大な罪
インターネット証券・SBI証券が、引受業務を手がける企業の新規株式公開において初値を人為的に操作しているとして、証券取引等監視委員会は15日、同社に行政処分を行うよう金融庁に勧告した。これを受け金融庁は同社に対し行政処分を行う見通し。過去に金融商品取引法が禁じる「作為的相場形成」が認定された事案では業務停止命令が出されたこともあり、同社にも同様の処分が出される可能性も指摘されている。また、SMBC日興証券による株価操縦事件では元執行役員に金融商品取引法違反罪で懲役1年6月、執行猶予3年の判決(今年2月に確定)が出されており、SBI証券をめぐる今後の動向が注目されている。
同社は引受業務を担当する新規上場案件において、初値が公開価格を上回るよう、傘下の金融商品仲介業者などを使って顧客に買い注文をさせていた疑いが持たれている。15日付日本経済新聞記事によれば、SBI証券は上場日の取引開始前に金融商品仲介業者を通じて顧客に買い注文を出させていたほか、香港現地法人がヘッジファンドなどに買い注文を出させていたという。
「株価上昇を狙って大量の買い注文を入れて、取引成立前にその注文を取り消す『見せ玉』と呼ばれる手法だろう。証券会社としては主幹事を担当した上場案件で初値が公開価格を下回ると、その後の上場の引受業務の新規案件獲得にマイナスの影響が出るのでマズイ。そのためSBI証券もなんとか初値を上げようとしたのだろうが、これをやると、対象の銘柄は実力値より価格が割高になり、その後は下落するので、高値で株を買ってしまった投資家は損をすることになる。顧客を欺く行為といえ、罪は重い」(金融業界関係者)
近年の同様の事例としては、ヤマゲン証券による株価操作事件があげられる。2017年に同社は金融庁から業務改善命令に加えて業務停止命令が出されている。
引用元: https://biz-journal.jp/2023/12/post_366982.html
業務停止命令とは?
業務停止命令とは、読んで字のごとく「業務を停止すること」です。ただ業務停止にも様々な種類があって、可能性として考えられるのが全面的な業務停止ではなく「一部業務停止」でしょう。
今回の場合、IPOに関する「株価操作」が問題となっているため、IPOの引受業務がその対象となる可能性が高いと考えられます。基本的にSBI証券は同業務が大きな収益源となっているため、仮に一時的であるにせよ、業務停止となれば大きな痛手となる可能性は高いのではないでしょうか。
新たに証券口座は開設すべき?
言い換えれば、通常の業務である「株取引」まで全面停止となる可能性はあまり考えにくい。そのため単純に株式を保有している、あるいはデイトレードをやっている個人投資家が、直ちに他の会社で証券口座を開設しなければならないとか、そういった必要性は低いと考えられます。
また、IPO引受業務についても、無期限停止とか、あるいは免許剥奪となる可能性はなく、一定期間内の業務停止あるいは業務改善命令で終わる可能性が高いのではないでしょうか。そのためIPO証券を狙っている投資家にとっても、急な口座開設の必要性は必ずしも高くない。
ただ、IPO証券に強い会社というのは他にもあって、これを機会に他の証券口座を開設する動きは出てくるのかもしれません。いわゆる「顧客流出」が発生する可能性は高いと考えてよいでしょう。
株式は現金は保護される?
基本的に、証券口座にある株式や現金は保護されます。証券口座が破綻した場合はもちろんのこと、破綻を免れるため、不正に顧客から預かった資金を流用した場合であっても、1000万円までは補償されます。というのも、こういった事態を想定し、「投資者保護基金」というものが存在し、各証券会社には強制的に加入することが義務付けられているからです。
今回のケースは、あくまで「特定の顧客に利益を出す」ことによって行われたものであり、経営難が原因で不正行為を行われたわけではありません(もちろん、いずれの場合も不正行為は厳禁ですが)。そのため、預けた資産が戻ってこないという可能性は基本的に考えにくいでしょう。
リスク分散は「やっておいて損はない」
とはいえ、他の証券口座を開設する必要がないかというと、必ずしもそうとは言い切れません。今回は経営破綻に直結するような可能性が低いといえるものの、また何らかの理由で不正行為が発生する可能性は0ではないからです。
例えば今回のケースだけでなく、立て続けに不正行為が発覚する。極端な話、他の証券口座でも同様の事件が発覚する可能性は常に想定されます。そのため一つの証券口座に資産を集中させるのではなく、複数の口座を保有することは「リスク分散」として必要と考えられるでしょう。
とりわけ高額な資産を扱っている場合、こういったリスク分散は、より重要になると考えられます。今回の事件を「自分とは関係ない」とするのではなく、新たなリスク、そしてそれに対処する方法を考える機会と捉えるのがよいのかもしれません。
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