バブル後最高値 日経平均株価 一時3万8000円超 なぜ日本株価上昇?要因を解説【news23】

■一時3万8000円超 日本株なぜ上がる?

記者
「3万8000円台を超えました。1100円以上の値上がりとなっています」

1990年1月のバブル期以来、34年ぶりの高値をつけた日経平均株価。1989年に記録した3万8915円という史上最高値に迫る、3万7963円となりました。

「実感としてはバブル時代の浮かれた感じはしないのに、株価だけが上がっているのは不思議」

株価上昇の要因のひとつは、「円安」です。円安により、輸出関連企業の業績が押し上げられるとの期待から、株を買う動きが高まっているのです。

円安は、海外投資家にとっても有利に働いています。

23ジャーナリスト 片山薫
「日本株は今、外国人の投資家が多く買っている。彼らはドルで取引するので、円安だと日本株は安く見える。お買い得な状態に見える」

また、中国への投資マネーが日本市場に流入してきたことも要因だといいます。

23ジャーナリスト 片山薫
「今、中国に海外の投資家が多く投資しているんですけど、中国の経済も悪い、株価も悪いということで、その資金を他のところに移そう、日本株を買っておこうと。(投資)マネーが中国から逃避して、日本に来ている」

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/499a5ee5e8c009e42e6558f72677ef3fc86ab53e

日経平均の過去最高値は?

つい最近まで35,000円。そして36,000円超えということで話題になっていました。しかし気付けば、

38,000超

日経平均の過去最高値はバブル期の1989(平成元)年12月。

3万8915円87銭

です。史上最高値の更新まで残り1,000円。この勢いだと2月中にも達成しそうな勢い。さらには39,000円。そして40,000円も可能性としてありそうです。

株価値上がりの要因は?

値上がりの原因はいくつかあると思いますが、引用記事にもあるように、中国経済の影響が大きく関わっていると考えてよいでしょう。

2000年代は日本経済の停滞。そして中国経済の成長によって多くの海外投資が日本ではなく中国に対して多くの投資を行いました。当時は「ジャパンパッシング」(Japan passing)なんて言葉がニュースで使われたりしています。

※ジャパンパッシング…日本を素通りして中国をはじめとしたアジア諸国に投資マネーが流れ込んだこと。1980年代の「ジャパンバッシング」(Japan bashing)と対比する用語にあたる。

とにかく2000年代以降の中国経済の成長は圧倒的でした。そのため中学入試の社会科等でも「日本の貿易相手国として正しいのはどれか?」という問題が現在もよく出題されます。

・米国→2000年前から高値をキープ
・中国→2000年頃から急激に貿易額が増大

IT産業の規模が今よりも小さく、インドの経済成長が「まだまだこれから」といった時代というものあったのでしょう。いずれにせよ中国が経済成長する環境は「十分すぎるほど」整っていたといえます。

中国経済の将来は?

残念ながら中国経済の将来はマイナス要因が多いと言わざるを得ません。急激な経済成長により、まず不動産の高騰。そして生活水準の向上に伴う教育費の増大。さらには「一人っ子政策」も手伝って少子化は日本以上に深刻です。

さらに問題なのは、日本と同様、中国においても

就職氷河期

これが現在、発生しているということ。私自身も氷河期世代の人間なので分かるのですが、絶対的な雇用枠がない。そのような中での「椅子取りゲーム」は基本的に無理ゲーです。それでも当時は「少し待てば景気が回復し、何とか就職口も見つかるだろう」という楽観論、あるいは希望的観測がありました。

しかし現実はそうではない。とりわけ新卒至上主義の日本において、新卒で就職できなかった状態から巻き返すのは至難の業です。当たり前ですが景気が回復した場合、

その時の新卒者を優先的に採用するので

結局、いつまで経っても仕事にありつけず、無駄な時間を過ごしてしまう。現在の中国はどうでしょうか?残念ながら日本と同じ轍を踏む可能性が高いのではないでしょうか……。

また中国の経済成長を支えた「開発独裁」システムが限界に来ていることも無関係ではないでしょう。軍事政権時代の韓国や南米諸国の経済発展を支えたのは、独裁体制による「一極集中的な」経済政策が背景にあります。

この仕組みが機能している間、基本的には効率の良い経済成長が見込めるのですが、当然ですが経済の発展に伴い、

民主化の要求

これが発生してしまうと人権が保障される反面、経済成長的には効率が悪くなってしまうというメリットがあります。現在の中国は経済的な側面「のみ」から見た場合、残念ながらこの成長モデルは限界に来てしまっているのではないでしょうか。そして仮に民主化が実現された場合、さらに経済のマイナス成長が想定されると考えられます。

チャイナパッシング

少々話題が逸れてしまいました。つまり現在の日本の株価は、かつてのジャパンパッシングならぬ「チャイナパッシング」(China pasinng)の恩恵を受けている状況といってよいのかもしれません。だとすれば、今後も株価が上昇する可能性は十分にあるといえるでしょう。

とはいえ「好事魔多し」ともいいます。株価が高騰し過ぎてしまったため、日本株を買うメリットがなくなってくれば、必然的に「買い」より「売り」。もっといってしまえば、

売り抜け狙い

が増えてくるでしょう。そうなりますと、今までの株価の高騰がまるで、

夢幻の如く

あたかも坂道を転げ落ちるような大暴落が発生したとしても何ら不思議ではありません。

円安はいつまで続くか?

日本株の高値の原因として、もう一つ考えられるのが「円安」です。

現在は150円辺りまできていますが、円高の時代を見てきた経験からすると、基本的には「120円前後」が円高と円安の境目という感じです。つまり、

130円を超えた時点でかなりの円安

むろん、時代や状況によってこういった相場は変わりますので、これが客観的に正しいかどうかは分かりません。しかし、急激な円安は言い換えれば、

円高のリスク

が大いにあり得るわけですので。そして一度、円高になりますと、とりわけ「輸出産業」が打撃を受け、そして株価が一気に下がる可能性があります。

余談ですが以前、本田技研工業「ホンダ」の株を購入した際、円高になったことで株価が下落するということがありました。現在は円安。そして北米市場で売り上げが好調なこともあり株価は元に戻っていますが、再び円高に伴う「暴落」が発生するリスクは想定されるとしてよいのではないでしょうか。

新興国の成長が「分岐点」かも(!?)

中国の経済が停滞している間、いわゆる「チャイナマネー」の流出によってしばらく日本株は上昇を続けるのかもしれません。とはいえ、未来永劫チャイナマネーが流出し続けるといことはあり得ませんので……。

そうなると、新たな「投資先がどこになるのか?」というのが重要になってくるでしょう。その候補先としてはいくつか考えられるのですが、おそらくはインド市場が有力ではないかと考えられます。

2000年代以降に著しい経済発展を遂げた5か国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)。すなわちBRICSの中で、インドは最も成長する可能性が高い。またBRICS枠は、

・サウジアラビア
・イラン
・アラブ首長国連邦(UAE)
・エチオピア
・エジプト

の5カ国が追加され、今後はさらに大きな組織となっていくため、さらに成長が加速していく可能性があります。

そうなりますと、これまで日本に流れていた資金がこれらの国々に流れ込む可能性がある。そのため、

株価「のみ」バブル

は残念ながら終焉に向かってしまうのかもしれません。