政治と株問題
2025年7月の参議院選挙
2025年7月の選挙は与党が「大敗」。自民党もそうですが、これまでは組織票で着実に議席を確保していた公明党が大幅に議席を減らしたのも興味深いです。同党の支持母体である創価学会、長らくカリスマ的な存在感を誇った池田大作氏の死去は選挙においても大きな影響をもたらしたのではないでしょうか。
一方で、野党、とりわけ国民民主党と参政党の躍進は今回の、というより「新しい時代の選挙」における象徴的な結果といってもよいでしょう。既存のメディア(オールドメディア)である新聞やTVに頼らず、ネット、特にSNS中心の選挙活動で議席数を大幅に伸ばしたのは、今後の選挙のあり方についても問われるであろう内容でした。
逆に自民党にとって逆風となったのが、やはり「政治と金」問題。6月の東京都議会選挙でもそうだったのですが、やはりこの説明が不十分である以上、今後も国民からの政治不信はなかなか消えないでしょう。そして無党派層の多くが「反与党」。そして、それらの受け皿として更に国民民主党や参政党をはじめとする、いわゆる「新興勢力」が伸びていくのではないでしょうか。
政治と株
政権交代→「株の暗黒時代」
さて、ここで政治と金ならぬ「政治と株」問題を考えてみたいと思います。2011年3月11日は、いわゆる「東日本大震災」があったため、被災地周辺は甚大な被害を受けたのですが、とりわけ福島における原発事故は東京電力の株価に大きな影響を与えました。
それまでは「安定株」「持っているだけで配当生活」といった感じで、中には退職金の全てを注ぎ込んで東京電力の株を購入したという方も少なくなかったのではないでしょうか?しかし、この原発事故がきっかけで、当然ながら株価は大暴落。さらに放射能汚染等による周辺地域の損害賠償等も重なり、当然ながら株主の配当は後回しとなりました。そして現在でも東京電力の株は低迷、そして配当も0の状態が続いています。
また、株式投資のベテランの方であればご存知かもしれませんが、2009年に政権交代(自民党→(旧)民主党)があった際、株価は大幅な下落でした。理由としては当時の与党であった民主党が極端な円高政策を取っていたこと。当時がどのくらい円高だったかといいますと、1ドル=100円以下、さらに2011年10月31日は1ドル=75円32銭という過去最高値も記録しています。
2025年の時点では1ドル=140円台後半。昨年は1ドル=160円台に達することもあったので。ちなみにトヨタ自動車は1円の円高/円安で約100億円の違いが生じるといわれています。
余談ですが日本は戦後から変動相場制に移行する1973年までは1ドル=360円の固定相場制でした。いずれにせよ、極端な円高で輸出産業が大打撃を受けたことは間違いないでしょう。これが日本の株式市場においては大幅な値下がりの原因であったと考えられます。
政権交代→「株の黄金時代」
大幅下落した株価が一転、上昇を始めたのは再び自民党に政権交代。そして「第二次安倍内閣(2012年発足)」以降です。2013年辺りから株価は下落から上昇に転じ、民主党政権時代には1万円を切ることもあった日経平均株価が徐々に戻り始め、2万円台を突破したというニュースが報じられました。
その後も安倍政権下では株価が上昇、退陣(2020年)後もさらに上昇が続き、2024年2月22日にはバブル期の最高年(38,915円87銭)を超えると、次いで3月4日には初の4万円台を記録しています。
その後、ここをピークにして上限を繰り返し、8月には日銀の植田総裁の利上げ政策による、いわゆる「植田ショック」。そして2025年4月には米国のトランプ大統領による、いわゆる「トランプ関税」が宣言されたことで大幅な値下がりが生じました(トランプショック)。
とはいえ、いずれの場合も短期間のうちに株価は回復し、依然として3万円台後半の状態が継続されています。理由は政権交代による経済成長の見込みに加え、中国経済の失速によって、いわゆる「チャイナマネー」が日本に流入しているというのもあるかもしれません。とはいえ、現在は少なくともバブル期以来の「株の黄金時代」といってもよいのではないでしょうか。
少数与党政権は「買い」か「売り」か?
戦争と株
一般的に、戦争が始まる状態での株は「買い」といわれています。理由としては、いわゆる軍事産業が政府から大量の受注を受けるので。その結果、多くの企業で収益が向上するのがその理由です。
「戦争で多くの人命が失われている中で、株の話なんて不謹慎だ!」という批判されることがあるかもしれません。しかし現実問題として、戦争は良くも悪くも「株価がダイナミックな変動をするタイミング」なのです。
逆に、戦争が終わると戦時中の「特需」で利益を上げてきた企業は一気に需要が減少してしまう。たとえば特需に対応する形で従業員を大量に雇用し、さらには新工場等を建設した場合、それらがコストとして重くのしかかる。
結果として企業の業績は軒並み悪化し、不況の時代へと突入していく……。そのため、戦争が終結した場合、早い段階で「売り」をするのがある意味、得策といえるのかもしれません。もしくは戦争が始まる直前、「まだ安値だった」株をそのまま保有継続といった感じで。
少数与党政権と株
では今回の参議院選挙はどうでしょうか?ちなみに今回の選挙結果は、あくまで「与党の議席減」です。政権交代ではありません。しかし、過半数割れという事態が発生しているので与党の政権運営能力は大幅に低下するでしょう。
ここで株主にとって大きな問題は、
少数与党で政情が不安定になると、経済に悪影響を与えるのではないか?
経済に悪影響、すなわち「株価の低迷」です。可能性はいくつか考えられますが、今回は衆議院選挙ではなく参議院選挙のため、大幅な政策転換は考えにくい。今後、経済の失速が懸念されるとすれば物価高であったり、あるいは物価高に追いついていない賃上げだったりするわけです。ところが、今回の選挙ではそういった経済に対して国民の不満が突き付けられた形になりましたので…
そうなりますと、今後、与党としても野党の多くが提案する減税策、あるいは物価高対策と向き合わざるを得なくなる可能性があります。そういった政策が通ることにより、結果として減税や物価高対策が実現されれば、むしろ経済成長の糸口が見えてくるのかもしれません。
したがって政権交代による政情不安を原因とする株価の値下がりよりも、むしろ経済を活性化する政策(減税、物価高対策等)が柱となることで、むしろ株価は上がる可能性もあり得ます。
とはいえ、与党は今後も増税策、そして物価高対策に対応できていない状況も続きますので。今回の選挙の結果、大幅に株価が上昇するという期待はあまり見込めないのかもしれません。個人的には、
株価がやや上昇すればいいな…
あるいは微減であれば許容範囲、といった感じの値動きになると思っています。皆さんはどう思われるでしょうか?
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